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東京高等裁判所 昭和48年(く)4号 決定 1973年1月22日

少年 T・Y(昭三一・六・一〇生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告申立書の記載によれば、本件抗告申立の理由は「昭和四七年一二月一五日千葉家庭裁判所において審判が為されましたが、右審判には全部不服ですので抗告の申立をいたします。」というのみである(その後抗告期間内に抗告の理由を補充する書面の提出もない)。

少年法三二条は抗告の理由を「決定に影響を及ぼす法令の違反」「重大な事実の誤認」又は「処分の著しい不当」という三つの事由に限定しており、少年審判規則四三条二項によれば、少年に対する保護処分に対する抗告申立の方式について「抗告申立書には、抗告の趣意を簡潔に明示しなければならない。」と定められている。したがつて、少年に対する保護処分に対する抗告申立書には少年法三二条所定の抗告理由を具体的に明らかにすることを要するものと解される。本件の如く、ただ抽象的に原決定に対し全部不服であるから抗告の申立をするというのみでは、抗告の趣意の明示を欠いており、抗告申立の方式に関する前記の規則に違反するものといわなければならない。

よつて少年法三三条一項、少年審判規則五〇条により主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 三井明 裁判官 石崎四郎 杉山忠雄)

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